タイのパタヤとベトナムのハノイで営業を続けていた北朝鮮レストラン(以下、一部北レス)が閉店した。新型コロナの影響とみられる。
閉店が確認されたのは、パタヤの「木蘭レストラン」とハノイの「平壌館」だ。木蘭は、パタヤの歓楽街ビーチサイドから東へ15キロメートルほど離れた「ザ マグノリアス パタヤ ブティック リゾート」というホテル内のレストランとして運営されていた。同リゾートは、元々北朝鮮貿易会社運営と日本の月刊誌でも報じられた、いわくつきホテルだったりもする(現在は国連制裁で北朝鮮独資、合弁企業ともに禁じられている)。
ハノイは、観光地である旧市街の南西にあり「平壌館」と「高麗レストラン」の2店が同じ通りにあり徒歩5、6分で行ける場所にあった。閉店が確認されたのは平壌館となる。高麗レストランは営業を続けている。
最盛期には世界130店
北朝鮮レストランは中国を中心に最盛期の2015年ごろには世界130店ほど運営されていたとされる。2016年以降は、北朝鮮による核・ミサイル問題に対する国連経済制裁が段階的に強化されていった。国連加盟国は2019年12月22日までに北朝鮮人労働者を完全帰国させる必要があり、12月22日以降の北レスの動向に注目を集めていた。
中には制裁履行前に閉店した店もある。バンコクでAKB48や中島美嘉などの楽曲を歌って踊るなど日本人をターゲットにした人気店だった「ヘマジ館」(19年11月末)、アイドル級の看板美女が店の名刺で微笑んでいたモンゴルのウランバートル「平壌百花レストラン」(19年秋)が閉店。モンゴルでは最後の1店だった。
いずれも両国政府が制裁履行前に他国を意識して圧力をかけて閉店させたとみられる。一方、制裁履行後も外観の灯りを落として闇営業をしつつ、2020年を迎えた北朝鮮レストランもあった。カンボジアのプノンペンは国連制裁履行前6店の北レス営業が確認できていたが、12月22日以降は闇営業で生き残っていたことを現地在住者が確認している。
しかしその後、批判があったのか年を越した1月上旬にカンボジア政府はわざわざカンボジア国内の北朝鮮レストラン全店(プノンペン6店・シェムリアップ2店)の閉店を確認したと公式発表している。
無事に2020年を迎えることができたが…
無事に2020年を迎えることができたパタヤとハノイの北朝鮮レストランだったが、今度は新型コロナウイルスが襲いかかってきた。
タイもベトナムも3月末に入国制限を実施。パタヤは4月9日からロックダウンで街ごと封鎖。ハノイはロックダウンこそ実施されなかったが、外国人渡航者は激減した。
元々北朝鮮レストランのターゲット客は韓国人を中心とした外国人客で、地元の人間ではない。そのため外国人が入国できなければ、北レス運営は窮地に陥ることは容易に想像できる。
韓国「聯合ニュース」は、ハノイの北朝鮮レストランが5月末に閉店したと報じている。しかし、ハノイ在住者へ確認すると4月には閉店していたという証言を得た。すでに元平壌館は貸出中の案内が出ている。平壌館時代、封鎖されていて何に使われていたか不明だった地下部分は、カフェとしてオープン準備が進んでいるようだ。
また、聯合ニュースの日本語版は、ハノイの北朝鮮レストランが全閉店と読み取れるような記事を配信しているが、もう1店の高麗レストランは営業確認できている。著者が7月末に電話したら、北朝鮮人女性と思わるスタッフが対応した。さらにグーグルマップの同店紹介には6月、7月に訪れたと思われる日本語での感想が確認できる。コメントを見ると1本1300円以上と高額な「大同江ビール」も提供されているようだ。
パタヤの木蘭は、6月、7月と電話すると6月は呼び出し音が鳴っていたが、7月は「番号が使われていない」のアナウンスに切り替わっていた。店の名刺の携帯電話も呼び出し音のみで誰も出ない。
隣接するいわくつきのホテルは、ホテル予約サイト上では予約できるので営業しているようだ。ホテルの目の前にはマーブプラチャンという大きな貯水池が広がり、周辺は韓国系の工場が立ち並ぶ。さらに車で30分ほど東へ走るとゴルフ場もあるなどパタヤの喧騒とはかけ離れた閑静なリゾート地といった感じの中にあった。(筑前サンミゲル/5時から作家塾(R))