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地銀再編へ独禁法の特例法施行 ライバル行の融和などハードルも

 同じ地域の地方銀行が経営統合しシェアが高くなっても、独占禁止法を適用しない特例法が27日、施行された。人口減少や新型コロナウイルスの感染拡大で収益力が低下している地銀の再編を後押しし、地域経済を支える地銀の経営基盤強化を目指す。菅義偉(すが・よしひで)首相が自民党総裁選中に「数が多すぎる」と述べたことで高まった再編機運だが、政府と日本銀行も補助金などで再編を促す。ただ、同一地域内でライバル関係にあった銀行の統合には、行内融和などの課題も残る。

 「銀行の体質がしっかりしていないと、地域は大きな影響を受ける」。麻生太郎金融担当相は27日の閣議後の会見で、特例法の狙いをこう強調した。

 大手銀は3メガバンクに集約されたが、地銀は全国に102行。再編の遅れに加え、人口減少などで地域経済が疲弊し、海外に活路を見いだす大手銀に比べ、地銀は業績が厳しい。三菱UFJモルガン・スタンレー証券によると、上場している地銀78社の令和2年9月中間決算で6割超が減益もしくは赤字だった。

 再編が遅れた理由の一つが独禁法だ。ふくおかフィナンシャルグループ(福岡市)傘下の親和銀行(長崎県佐世保市)と十八銀行(長崎市)の統合では、公正取引委員会が長崎県内の貸し出しシェアが約7割に達することを問題視。審査に2年以上を要し、特例法のきっかけとなった。 

 再編を促すため政府は特例法のほかにも、システム統合など再編費用の一部を補助する制度を来年夏にも創設する。日銀も再編を決めた地銀が預けている当座預金の残高に、上乗せ金利を支払う制度を決めた。

 経営統合に至らなくても、業務を一部共通化するなど緩やかな提携も進む。

 今月20日、SBIホールディングス(HD)と、きらやか銀行(山形市)と仙台銀行(仙台市)を傘下に置くじもとホールディングスが提携を発表。SBIの地銀提携は7行になった。

 再編を促す菅首相とも親しいSBIの北尾吉孝社長は、自ら主導する再編を否定するが、「提携先が(自発的に)再編したいというのなら別だ」と話し、こうした地銀連携が再編に発展する可能性もある。

 しかし、同一地域の地銀の経営統合にも課題がある。店舗の統廃合による人員削減が、地域の雇用に影響を与えかねない。サービス維持計画を金融庁に提出し認可を受けるとはいえ、シェアが高まり競争が滞れば、顧客の利便性が損なわれる懸念もある。

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の安岡勇亮アナリストは「その地域で激しく競合していた銀行同士の統合だけに、いかに融和できるかも課題になる」と指摘する。