5時から作家塾

バーガー大手の米マクドナルド ついにビーガンバーガー市場に参入!

岡真由美

 ファストフード大手チェーンの米マクドナルドが、本物の肉の代わりに植物から作った「肉」を使ったバーガーを開発、2021年から店舗で提供する計画を明らかにした。

マクドナルドが限定公開したマックプラント紹介動画のスクリーンショット
マクドナルドのメニュー

 肉を使わないハンバーガーそのものは、特に新しい話題ではない。こちらの記事で以前に紹介したインポッシブル・フーズは数年前より商品開発を行い、ファストフードチェーン大手バーガーキング、ファストフードチェーン店ホワイトキャッスル、その他レストランに提供している。

 またインポッシブル・フーズと競合するビヨンド・ミートも、ファスフードチェーンのカールスジュニアやサブウェイ向けに商品開発を行っているほか、コスコ(日本ではコストコ)やセーフウェイ、ターゲットなどの量販店やスーパーに、本物の肉を使わない植物ベースのソーセージ、ベーコン、パテなどを卸している。

 「マクドナルド向けにマクドナルドが作る」

 しかし、マクドナルドによる植物ベースのバーガー市場への本格参入宣言は大きな話題となった。店舗数、売上高ともに、同社の影響力は非常に大きいからだ。

 米国のファストフードチェーン店売上高順位でみると、マクドナルドの2019年の売上高は約404億ドルで、2位のスターバックス(約216億ドル)に圧倒的な差をつけている。ちなみに先に挙げたバーガーキングは5位で売上高は約103億ドル、サブウェイは6位で同約100億ドルであることを考えれば、マクドナルドの売上がどれだけ大きいかが分かるだろう。

 実はマクドナルドは、すでに米国内の一部地域で、2019年9月より植物ベースのハンバーガーを試験的に販売している。そしてこの「パテ」を開発、製造していたのは先述のビヨンド・ミートだった。

 しかし、マクドナルドが2021年に「マックプラント」(プラントは「植物」という意味)として植物から作ったパテをはさんだバーガーシリーズを展開すると発表した時、「マクドナルド向けにマクドナルドが作る」とコメントしたため、翌日ビヨンド・ミートの株価は大きく下落した。マクドナルドがビヨンド・ミートとの提携を取りやめたと受け取られたためだ。その後、「マックプラント」シリーズの一部はビヨンド・ミートが担当することが判明、同社の株価も落ち着いた。

 マクドナルドは「マックプラント」シリーズとして、ビーフ風、チキン風バーガーを開発するとしているが、発売時期や価格などの詳細は明らかにしていない。

 「一気にメインストリーム」か

 米国では健康志向、そして環境保護意識の高まりとともに、こうした「肉を使わない肉」が注目を集めている。同時に味も大幅に改善され、「肉ではない」と言われなければ分からないレベルまで向上してきた。実際筆者も、バーガーキングが提供している「インポッシブル・ワッパー」を何度も食べているが、同店の主力メニューである「ワッパー」と遜色ない味だと思う。これは牛肉を模したものだが、インポッシブル・フーズは豚肉分かせた「インポッシブル・ポーク」も開発している

 植物ベースの「肉」は、カロリーは本物の肉とそれほど変わらないが、繊維質が多くコレステロール含有量が少ないので、コレステロールが気になる中高年にもぴったりだ。そして動物の肉を用いない「肉」の生産工程は、環境保護にも役立つことが分かっている。

 ハンバーガー・チェーン最大手のマクドナルドが「マックプラント」シリーズを通常メニューとして提供するようになれば、「肉ではない肉」の知名度は確実に上がる。これまで植物ベースの肉に興味がなかった人々のなかにも、試してみる人が出てくるだろう。これで植物ベースのバーガーが、一気にメインストリームとなる可能性がある。(岡真由美/5時から作家塾(R)

5時から作家塾(R) 編集ディレクター&ライター集団
1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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