前橋「スーパーシティ」市独自の通信網整備で 医療・教育等の先端サービス提供
前橋市は人工知能(AI)などの最先端技術を活用した実証実験を地域で行う国の特区、「スーパーシティ」構想の事業内容を公表した。実現すれば市内に独自の通信網が張り巡らされ、幅広い世代がより便利な医療や公共サービスを受けられるようになる。オンライン選挙の導入も目指すとしている。
市の構想では、高速インターネット通信網の基地局を人口密集地域に40~50カ所設置。主に第4世代高速通信「LTE」を活用し、多様な市民向けサービスを展開する。運営は市が51%出資する新会社「前橋めぶくグラウンド」が担う。
この通信網を使って、医療、交通、教育、行政手続きといった12の先端サービスを行う。マイナンバーカードや携帯電話、顔認証を組み合わせた「まえばしID」を活用し、サービスが受けられる仕組み。
例えば、医療は、医療機関の処方箋を電子データで受けられるほか、遠隔診断、認知症予防に関連する早期発見法の提供にもつなげる。教育では、設置する小中高大学の一貫校で、オンライン授業を導入し、海外交流の促進を図る。交通については、AIによる送迎配車システムなどのオンデマンド交通に加え、災害時の交通情報の集約などのサービスを提供するといった具合だ。
このほか、現在は規制されているオンライン投票を、接続下でもできるように提案。これにより、いつでも自分の意思を市政に反映させられるとしている。
現在、「スーパーシティ」の自治体公募には、前橋市のほか、茨城県つくば市など全国31団体の応募があったという。今後、国家戦略特区の区域指定が決まり、5団体程度が選ばれる予定だ。前橋市は4月16日に国への申請を行った。
山本龍市長は「市民を誰1人としておいていくことのない社会にできると確信している」と意義を強調している。