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静岡知事選、リニア問題めぐり応酬 2氏が討論会

 任期満了に伴う静岡県知事選(6月3日告示、20日投開票)に出馬を表明している、いずれも無所属で、現職の川勝平太氏(72)と新人の元参院議員、岩井茂樹氏(52)=自民党推薦=が25日夜、静岡市内での公開討論会(静岡青年会議所主催)に出席し、主要な県政課題について論戦を交わした。出馬表明後、初顔合わせとなった両氏は、関心の高いリニア中央新幹線建設問題で応酬を繰り広げる場面もあった。

 討論会で設定された論戦テーマは、人口減少問題、新型コロナウイルス対策、リニア問題の3点。

 最も白熱したリニア問題では、岩井氏が冒頭、リニアのトンネル工事に伴う大井川の水量減少問題について「流域住民の理解と協力、科学的な検証と技術的な担保が得られない限り、着工は認めない。ここはぶれない」とした。

 その上で「JR東海が流域住民に向き合わないような姿勢であれば、ルート変更などの話も出ているが、すべての選択肢を考えながらゼロベースで国やJR東海側に強い姿勢で臨みたい」と踏み込んだ。

 川勝氏はこの発言を「大変重要な発言。大いに頼みにして聞いた」と持ち上げてみせた上で「(岩井氏を推薦する)自民党全体の責任において発言しているのか」と真意をただした。岩井氏は「ルート変更や工事中止も含めてその時の状況を踏まえ、毅然(きぜん)と対応していく」などと繰り返した。

 川勝氏はまた、工事推進のJR東海の姿勢を追認しているのが国土交通省だと主張し「その担当だったのが岩井さんだ」と揶揄(やゆ)。出馬表明に伴って国交副大臣を辞任した岩井氏は「直前の経験値だけではなく、これまでの経験を生かす」と反論した。

 コロナ禍に関しては、岩井氏が「危機の打開はワクチンの円滑接種に命運がかかっている。市町と県が本当に連携し、(県が)黒子に徹する姿勢で苦難を乗り越える努力が必要だ」と指摘すれば、川勝氏は「“出口”はワクチン接種しかない」と語り、検査体制拡充や集団接種会場開設などこれまでの実績を強調した。

 討論会の動画は6月1日から静岡青年会議所のユーチューブチャンネルでウェブ配信される。