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モルディブ ワクチンツーリズムで復興狙う

 観光業が国内総生産(GDP)の6割近くを占めるモルディブは、人口53万人のインド洋に浮かぶ小国であり、水上コテージなどのリゾートで知られる。2010~19年は観光業の好調により年平均6%強の成長を遂げたが、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた20年のGDPの落ち込みは3割超と大きく、コロナ前の水準を回復するのは23年にずれ込む見通しである。

 昨年3月に国内初の新型コロナ感染者が確認されると、モルディブ政府は即座にビザ発給を停止した。また、4月に首都マレで市中感染が確認されると2カ月間のロックダウン(都市封鎖)を実施。政府の素早い対応に加え、国土が小島からなる地理的な感染の広がりにくさを背景に、早期に感染拡大を抑えることに成功した。観光客の受け入れは4月にいったん停止したものの、7月には再開し、現在は新型コロナ前の6割まで回復した。

 さらに、モルディブ政府は21年2月から国籍に関係なく全住民を対象にワクチン接種を開始した。少なくとも1回はワクチンを接種した人の割合は、住民の55%超に達し、特に観光従事者では約90%に上る。

 ワクチン接種の進展を受けて、観光相は4月に観光復興のため、モルディブ滞在期間中にワクチン接種を受け休暇を楽しむ「3V(Visit、Vaccinate、Vacation)」戦略を掲げた。国民のワクチン接種が完了次第、すぐにも観光客に対するワクチンプログラムを開始する意向だ。

 感染者数は4月中旬以降、急速に増加しており、入国時の検疫およびマレ周辺での行動制限が強化されている。しかし、モルディブは1島1リゾートであるため、感染が拡大するマレを経由せずにリゾート島に行くことが可能であり、早期のワクチンツーリズムの導入が期待される。(日本政策投資銀行経済調査室 鹿野百香)(編集協力=日本政策投資銀行)