5時から作家塾

「プレミアム付商品券」は本当にお得なのか? 海自数学教官に聞く

泉澤義明

 プレミアム商品券とは商店の活性化を図るため、1万円の販売価格に2000円や3000円分のプレミアム(割り増し分)が付いた商品券で、市町村が地元の商店を応援するために企画されている。市民にも企業にも好評の企画を立てる商工観光課の担当者と、防衛省海上自衛隊数学教官で『身近なアレを数学で説明してみる』等著書の佐々木淳さんにお話を聞きました。

 まずは、岩国市商工振興課の担当者に好評のわけを教えて頂きました。

 「2020年の『岩国市プレミアム商品券』の販売率は91%でした。約18億円が市内の店舗に使われ地域活性化につながったと思います。コロナの影響が続く2021年も市内の経済効果を高めるため販売を決定しました。店舗数も50店舗以上増え、商店の方、市民の方にも喜んで頂いていると思います」

 好評のわけは岩国市の『岩国市プレミアム商品券』は1セット(1000円×10枚)を5000円で購入できるところにある(1世帯あたり2セットまで)。

 「市内の消費を喚起することを第一に考えて、お金を動かす。消費活動があることによって経済が循環して、地域経済の活性化につながると考えていたので、効果を考え、できるだけプレミアムを高く設定し100%設定しました」

 プレミアム率100%とはお得なのか? 佐々木さんに教えて頂きました。

 「割引きやプレミアムやポイントによる還元の違いを分かりやすくするためには、すべて割引率に換算して比較するのがよいと思います。例えば10000円の商品で考えてみましょう。10000円の商品を「6割引き(60%引き)」で販売した場合は4000円ですが、この商品をプレミアム付き商品券(ポイント還元)にしてみます。つまり、10000円の商品券に6割(60%)分のプレミアムが付くものとします。10000円の商品券に6割(60%)分のプレミアムが付く場合を逆に考えると、16000円を6000円分割引され10000円で購入したことと同じになります。16000円を6000円引きは、3.75割(37.5%)引きと同じになります。「6割引」と聞けば、相当魅力的ですが3.75割引と言われると魅力度は落ちるのではないでしょうか」

 「割引」と「プレミアムやポイントによる還元」の違いがはっきり分かりにくいと思っている方もいると思います。そんなときは、極端な例で考えるのが一番分かりやすいとのこと。

 「極端な例は100%割引と100%ポイント還元です。100%割引は言いかえると「無料」です。では、100%ポイント還元は、無料になるのでしょうか? いいえなりません。販売価格を支払わないとプレミアムもポイントもつきませんから無料になることはありません。具体的に考えますと10000円の商品券に100%ポイント還元になると10000円のポイント(プレミアム)付になります。これは言い換えると20000円のものを10000円で購入したことと同じことになります。つまり100%ポイント還元は50%割引半額と同じなのです」

 割引とポイント還元(プレミアム付き)は似ているのですが微妙に違うようです。割引とポイント還元の比較を教えて頂いたので是非とも活用してください。

 更にキャンペーンなどで見かける「○○人に1人は無料」などについても一番お得そうに見えるが、実は多くの場合一番お得ではないとのこと。例えば、「10人に1人は無料」は一人当たりの割引に換算すると1割(10%)引き。その他の「割引」の比較の一覧も頂いたので、こちらも是非活用してください。

 ※この「○○人に1人は無料」の「無料」については景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)で上限額が10万円となっています。

 緊急事態宣言も解除され、感染対策をとりながら徐々に人も動き、消費も回復傾向になると言われているが、早くコロナも終息して、プレミアム付き商品券など政府・自治体にどんどん企画して頂き、人も街もにぎやかになることを願うばかりです。(泉澤義明/5時から作家塾(R)

5時から作家塾(R) 編集ディレクター&ライター集団
1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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