毛沢東という狂気の政治指導者の暴虐さをよく知っている中国の知識人なら、この発言を聞いても別に驚かないのだが、筆者の私が興味深く思ったのはむしろ、人の命を何とも思わない共産党指導者の異常さを露呈し、党のイメージダウンにつながるであろうこの「問題発言」が、他ならぬ共産党機関紙の人民日報社の自社サイトで暴かれたことである。
ここでも、前回本欄が取り上げた中国メディアの姿勢の変化が見え、中国における「進歩の兆し」として捉えることもできようが、その一方で、まったく正反対の方向性を思わせるような新聞記事もある。
1月19日、内陸部の大都会である重慶市の地元新聞『重慶日報』は、同じく「毛沢東」に関連する記事を掲載した。最近、重慶市共産党委員会の動員により、市の幹部たちは1930年代に毛沢東が共産党ゲリラ軍を率いて戦った井岡山(せいこうざん)という山岳地帯へ赴き、そこでゲリラ部隊が着用した「紅軍服」に着替え、「毛主席の紅軍兵士」になりきった心構えで、「毛沢東思想の神髄」を学び「共産主義精神の原点に立ち戻った」ということだ。
労働市場の厳しい現実
食欲そそるのか?
【石平のChina Watch】