■抜本解決へ英知と総力結集を
安倍晋三首相はIOC総会で、東京電力の福島第1原発の放射能汚染水について、「状況はコントロールされている」「完全にブロックされている」(9月7日)と述べました。しかし、「コントロール」どころか、汚染水の状態の把握さえ満足にできていないのが現状です。
◆現状と危険性の解明必要
これまでの東京電力の対応の根底には、「汚染水はいずれ海に流せばよい」とする考え方があります。原子力規制委員長も、汚染水を海に流すことを肯定する発言を行っています。しかし、汚染水をいくら希釈しても、海に流すことに国内外からの理解は決して得られません。「いずれ海に」という考え方を一掃し、「放射能で海を汚さない」ことを、対策の基本原則として確立すべきです。
そして、汚染水の現状がどうなっているのか--何が分かり、何が分かっていないのか、どこに問題と流出の危険があるのかなど、あらゆる角度から、国内外の専門的知見を総結集して調査し、福島県民をはじめとする国民と、国際社会に情報をありのままに公表しなければなりません。
それなくしては、これまでのような“その場しのぎ”の対策ではない、抜本的で長期的な対策を打ち出すことはできないでしょう。