北部パンジャブ州の繊維工場で作業中の従業員。パキスタンは天然ガスが不足、主要産業の繊維業にも影を落としている(ブルームバーグ)【拡大】
エネルギー不足が深刻化するパキスタンで、政府が来年1月から2カ月間、すべての分野を対象に産業用の圧縮天然ガス(CNG)の供給を停止すると表明した。冬を迎えて需要が高まる家庭への供給を優先するための措置だが、主要産業の繊維業界などからは一方的だとの声も上がっている。現地英字紙エクスプレス・トリビューンなどが報じた。
同国繊維産業の業界団体、全パキスタン繊維工場協会(APTMA)によると、主要生産地の北部パンジャブ州の繊維工場へのエネルギー供給状況は現在、天然ガスが1日当たり8時間、電気が同4~6時間となっている。
協会幹部は、工場が1日1シフトしか稼働できないため、パンジャブ州だけでガス不足による損失額が720億パキスタンルピー(約693億円)に達しており、天然ガスが供給停止となれば繊維産業全体で1カ月当たり12億ドル(約1243億円)相当の輸出が失われると主張。「政府は一方的に供給を停止するのではなく、生産的な解決策を模索すべきだ」と訴えた。