【閣僚通信簿】麻生太郎 首相の意汲み妥協探る 発言には笑いとリスク

2013.12.23 13:11

20日の閣議前、安倍晋三首相(左)と話し込む麻生太郎副総理兼財務相(酒巻俊介撮影)

20日の閣議前、安倍晋三首相(左)と話し込む麻生太郎副総理兼財務相(酒巻俊介撮影)【拡大】

 深夜が当たり前の帰宅が、10月15日は珍しく午後7時過ぎには家にいた。財界の大物を夕食会に招いたためだった。

 相手は、トヨタ自動車名誉会長の張富士夫と社長の豊田章男の両夫妻。テーブルに並ぶフランス料理とワインに舌鼓を打ちながら談笑するうちに、第二次大戦後に官民が手を携え復興を遂げたことが話題になった。トヨタも戦後まもなく経営危機に直面したが、日銀の支援を受けて再起したという。

 「企業に賃金を上げてもらう。トヨタが賃金を上げてくれれば各企業が動く」

 首相の安倍晋三から内々に相談を受けていた。夕食会はその根回しの場だった。張、豊田を前に、日本経済を復活させるためには政官民の協力が欠かせないことを訴えた。

 2日後の同月17日、豊田は官邸で開かれた政労使会議を終えると、記者団に「業績が上がった分、従業員に還元するのは当然だ」と給与アップを表明した。その後、他の企業からも報酬の引き上げが相次いだ。

 「本当に首相を支えようとしている」

 アベノミクスを共に支える経済再生担当相の甘利明は、トヨタへの根回しの成果を思い知らされた。

  ■  ■  ■

 安倍とは政策方針が全て一致しているわけではない。しかし、仕える以上、溝が埋まらないときは常に落としどころを探った。

 「お前たちも仕方ねえから対応を考えろ」

 消費税率引き上げをめぐり、安倍が財務省の反対する法人税減税を検討していた9月、財務官僚にこう指示を出した。最終的に、実効税率引き下げよりも復興特別法人税の前倒し廃止で省内をまとめ上げ、安倍の「思い」を反映させた。

 講演や選挙演説で聴衆を楽しませようとする向きがある。歯に衣(きぬ)着せぬ発言は多くの笑いを誘うが、リスクもつきまとう。

 7月の講演では、憲法改正にからんでナチス政権を引き合いに出した。その発言が海外に伝わり、2020年夏季五輪の東京招致が一時危ぶまれた。

 官邸側は不信感を募らせ、「五輪誘致に失敗したら麻生発言を原因にして安倍の責任を回避する」との声も上がったほどだ。

 自ら率いる麻生派(為公会)は昨年末の衆院選と今夏の参院選で、野党時代の倍近い38人に達し、党内基盤も強まってきた。安倍と安倍を支える麻生の連携は来年も機能するのか-。麻生の動きは来年も、政権を左右することになる。(坂本一之)

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 昭和15年、福岡県生まれ。73歳。学習院大卒。日本青年会議所会頭を務め、54年に衆院福岡2区(現・福岡8区)から出馬し初当選。当選11回。経済企画庁長官や総務相を歴任し、第1次安倍内閣で外相。平成20年、第92代首相に就任した。射撃でモントリオール五輪に出場している。

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