【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(17) (1/3ページ)

2014.6.20 05:00

現在、ティンダウンジー村では最高齢のウー・チッミャインから水田を分割贈与された娘のマ・フラテー(写真中央)は、違法ながら水田の一部に盛り土をして茶店を開いた。彼女は夫(同右)に「もうからない農業はやめ、茶店だけをやろう」といつも話している(高橋昭雄東大教授撮影)

現在、ティンダウンジー村では最高齢のウー・チッミャインから水田を分割贈与された娘のマ・フラテー(写真中央)は、違法ながら水田の一部に盛り土をして茶店を開いた。彼女は夫(同右)に「もうからない農業はやめ、茶店だけをやろう」といつも話している(高橋昭雄東大教授撮影)【拡大】

 □村落式相続法(下)

 ■仏教徒慣習法に反して…

 前回、ウー・タンマウンが生前に子供たちに財産を分与したことが違法であると述べた。それは、この行為がビルマ仏教徒慣習法に反するからである。

 ◆生前贈与は原則禁止

 ミャンマー国内の仏教徒の相続や婚姻に関して他の法律に優先する同法は、相続人に対する財産分割の時期を、被相続人の死亡時もしくは再婚時と定めている。子供が親の財産を相続する場合、両親とも死亡するか、親のどちらかが再婚しないかぎり、親の財産に手をつけることはない。つまり、親の再婚の場合を除いて、両親とも死んでから財産が男女を問わず分割相続される。

 また、慣習法ではあらゆる遺言は無効であるとされているため、被相続人が生前に財産を分配する(生前贈与)ような、遺言を実行することと同じ効果をもたらす行為も違法である。

 このような「違法行為」はウー・タンマウンに限ったことでも、ティンダウンジー村に限ったことでもなく、ミャンマーの農村のどこにでも見られることである。なぜ、このようなことが行われるのであろうか。

 第1に考えられるのは、農地の法律的特殊性である。農地は今でも国有であり、2012年の農地法制定以前は、売買、贈与、貸借、分割、そして相続さえも禁止されていた。しかし、親の農地を子が耕作していれば、その子供が継続して耕作する(レッシ・レッゴウッ)ことができるという政令により、生前贈与だけは許されていた。これが農地だけではなく、牛や貴金属の生前贈与にまで影響を及ぼした可能性がある。

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