チベット自治区の中心都市ラサからヒマラヤ山脈北麓のシガツェ間を最高時速120キロで結ぶ拉日鉄道の機関車(中国新聞社)【拡大】
チベット自治区のラサとシガツェを結ぶ「拉日鉄道」が今月中旬に開通し、中国の鉄道車両メーカー、中国北車集団が開発した「和諧N3高原型」機関車が運行を開始した。同じく高原を走る(青海省西寧とラサを結ぶ)「青蔵鉄道」は米国からの輸入機関車を使用しており、中国製のハイパワー機関車が「世界の屋根」と呼ばれるこの地域で運行するのは初めて。
中国北車の専門家によると、海抜が世界で最も高い地域を走る青蔵鉄道は、空気が薄い▽気圧が低い▽紫外線が強い▽長い坂道やトンネル、橋が多い-といった厳しい条件が多く、当時は輸入に頼らざるを得なかったという。
だがその後、中国北車傘下の大連機車車両が「和諧N3型」の技術を基に、動力伝達方式や電気系統、冷却性能、ディーゼルエンジン、制動システムといったさまざまな機能の改良を進め、1年かけて気象条件に適した高原型ディーゼル機関車を開発。今年7月には試運転に成功し、適応試験も通過した。
最高時速120キロの拉日鉄道が開通したことで、ラサから世界最高峰のエベレストを南に望むシガツェ市までの所要時間は3時間に短縮。鉱物資源が豊富なシガツェ地区からラサまでの鉱物輸送も、これまでの道路輸送に加えて鉄道輸送が可能となった。
こうした中、青蔵鉄道も中国北車大連機車車両の同機関車をまずは30台導入する予定。
また、9月には(四川省成都とラサを結ぶ)川蔵鉄道の一部で全長433キロのニンティ-ラサ間が着工、青蔵鉄道の能力増強工事も11月に着工される見通しだ。(中国新聞社)