【高論卓説】時代の先行く感性が社会変える 田部康喜 (1/2ページ)

2015.2.16 05:00

 橋本愛が演じる、いち子はとにかくよく食べる。奥羽山脈の小森という集落が舞台である。材料のほとんどが自分で栽培するか、近くの山で採ったものばかり。新ジャガとクレソンのサラダ、軒下につるしたシミ大根と豆腐…。

 岩手県奥州市とその周辺で1年間にわたってロケした2部作「リトル・フォレスト」のうち、昨年の「夏/秋」に続いて14日に公開された「冬/春」の試写である。

 町のスーパーの仕事を辞めて、彼女は母親が家出をした実家で1人暮らしを始める。廃校になった小学校の分校の同窓生たちや、集落の老人たちと触れ合いながら、どう生きたらよいかを考える。

 ラストシーンで、分校を会場にした集落のバザーを開いて、余興に祭りの踊りを舞う。婚約者がいることが暗示され、集落に居を構えて子供を産むという。女性の同級生は膝に赤ん坊を抱いている。子供の数を増やして分校を再開する夢を語る。

 いち子のような若者たちが地元の農村にUターンしたり、地元ではないが近くにIターンしたりする若者たちの動きを「田園回帰」と呼ぶ。地方で暮らしたいと考える人々の相談にのるNPOふるさと回帰支援センター(東京)の相談件数が昨年、初めて1万人を超えた。そのうち20代と30代が3割以上を占める。

 子供を産む可能性が高い20~39歳の女性の人口を推計することによって、896もの地方自治体が消滅しかねないとする「地方消滅」を唱えた、日本創生会議の増田寛也氏の指摘は、いまだに論壇のテーマになっている。

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