□21世紀政策研究所研究主幹・澤昭裕氏に聞く
≪問題多いFITの仕組みと再エネ活用≫
再生可能エネルギーをめぐり、いち早く固定価格買い取り制度(FIT)を導入した欧州では、電気料金の高騰などを招き、制度を見直す動きが活発化している。その欧州を参考にFITを導入した日本でも、見直しが始まっている。今後の再エネ導入にはどのような視点が必要なのか。前回(23日付)に続き、澤昭裕・経団連21世紀政策研究所研究主幹にポイントを聞く。(聞き手 井伊重之・産経新聞論説委員)
≪導入加速で系統全体にゆがみが発生≫
再エネのリスク十分に認識を
--再エネ導入拡大のためのFITで先行したドイツ、スペインを教訓に日本は何を学ぶべきでしょうか
「ドイツもスペインでも再エネを有望な投資先として、いろいろな企業が再エネ市場に参入しました。その背景の一つには、FITの買い取り価格の設定が、市場価格を大幅に上回ったことがあります。しかし、電気は送配電網を通って最終需要者の手に届くため当然そこにはネットワークとしての物理的な限界量があります。それを超えて導入スピードが速すぎたり、供給量が一気に膨らむとネットワーク全体にゆがみを生みます。日本でもFITをめぐって太陽光発電の系統への接続申し込みが増えすぎ、混乱を招いた昨年の接続回答保留の問題が生じましたが、それが正にいい例です。