中国が国有企業の合併を加速させている。すでに鉄道車両や原子力企業の再編劇が始まっており、中央政府直轄の国有112社は今後5年以内に約3分の1に当たる40社に集約されるとの見方がある。規模の論理でコスト面などの国際競争力を一気に高め、陸路と海路で中国から欧州まで結ぶ「新シルクロード(一帯一路)構想」の鍵となるインフラ輸出で、中国が主導権を握る狙いがある。さらに改革を断行することで、既得権益層との癒着や独占体質による非効率な経営などを打破し、産業構造を健全化させてウミを出すもくろみもある。
国際競争力を強化
中国紙の新京報によると、上海と香港の証券市場で8日に取引が始まった新会社「中国中車」の時価総額は、両市場の合計で1977億ドル(約24兆3000億円)に膨らみ、米ボーイングと欧州エアバスの時価総額の合計を上回った。交通インフラに関わる大型メーカーとして、事業範囲が圧倒的に広い米ゼネラル・エレクトリック(GE)に次ぎ、時価総額で世界2位に躍り出た。
中国中車は2大国有鉄道車両メーカーの中国南車と中国北車が合併し、1日に発足した。2014年12月、政府の主導で進められた合併協議に合意し、今年4月に中国商務省が承認。中国南車が中国北車を吸収する形で再上場した。