中国軍が軍事演習で台湾総統府と外観がそっくりの建物を攻撃の標的にしたと報じた7月23日付の台湾各紙(共同)【拡大】
中国は、集団的自衛権の限定的行使を容認する日本の安全保障関連法案の審議に、これまでも強く反発してきた。安倍晋三首相の「戦後70周年談話」の見極めに加え、習近平指導部は9月3日には抗日戦争勝利70年の軍事パレードなど一連の行事で抗日キャンペーンを強める。
一方で、「国際社会から非難を浴び、経済的にも損失の大きいはずの『国防動員法』を中国がそう簡単に適用するはずがない」との反論も日本国内からはでそうだ。
ただ、安全保障関連法案一つとっても遅々として進まぬ日本に対し、中国はすでにさまざまな法的措置を着々と進め、戦時体制に備えている現実がすぐそこに実際に存在していることは認識する必要がある。まずは中国に人員を派遣している日本企業から「発想の転換」をすべきではないか。(上海 河崎真澄)
■中国「国防動員法」をめぐる日系企業への影響
(1)中国人従業員が戦時動員され経営側と利益が相反する恐れ
(2)工場など中国における資産が徴用・凍結・没収される懸念
(3)中国での生産やビジネス活動が長期的にできなくなる可能性
(4)日本人駐在員や家族らが中国から出国できなくなる懸念
(5)中国での社会的混乱や騒動による被害や損害を被る可能性
(エリス・アジア事務所の資料から作成)