自民、公明両党のすったもんだの議論の末、軽減税率を食料品へ適用することに決まった。なければ生きていけない生活必需品であることが適用の理由だ。ただ食料品以外でもトイレットペーパーや寒さを防ぐ衣料品、灯油なども生活必需品のはず。今後、毎年の税制改正作業で、各業界が対象化を求める「陳情合戦」が激化するのは避けられない。
消費税は、収入や資産にかかわらず、すべての人に同じ税率がかかる。食料品など生きていく上で必要なものは買わないわけにはいかないため、収入に占める食費の割合が大きい低所得者ほど消費税の負担割合が大きくなる。政府・与党が、まず食料品から適用するのはこのためだ。
ただ、既に軽減税率が広く適用されている欧州各国では、各業界団体が製品への適用を求めてやまないことから「me too(私も)症候群」が常態化している。税制は「公平・中立・簡素」が大原則だが、食料品だけの適用となる日本でも「不公平だ」として、毎年の改正作業で適用を求める主張が相次ぐ懸念を抱えることになった。