テヘラン市内の商店街(ブルームバーグ)【拡大】
2月に油田開発の新しい契約方式に関する会議が予定され、石油開発会社や大手商社が参加する見通し。住友商事などは資源開発向け鋼管も売り込む考えだ。
資源以外にも商機は大きい。イラン経済は長期の制裁で疲弊しており、大手商社幹部は「足りないものが山ほどある」と指摘する。
イランは雇用拡大の起爆剤として、自動車産業に期待する。関連企業の民営化と外資導入で生産台数を2025年までに足元の3倍となる約300万台まで拡大し、周辺国への輸出も拡大するシナリオを描く。日本勢も三菱自動車などがイラン市場に関心を示す。
また、外資誘致に不可欠な空路の整備も課題だ。制裁による部品不足で事故が多発しており、イランは安全確保のため今後10年間で400~500機(約200億ドル相当)の新規購入を計画。日本勢は国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」を売り込む構え。
一方、イランの制裁解除が近いとの観測は原油相場急落の一因となってきた。大和証券の壁谷洋和チーフグローバルストラテジストは「解除はある程度織り込み済み」としつつも、買い材料は乏しく、当面1バレル=30ドル前後の攻防が続くと予想する。油価の低迷が続けば油田開発などの採算も悪化するため、石油元売り大手幹部は「解除は朗報だが、いまは積極的に動けない」と漏らしている。