祝賀パレードに参加した北朝鮮の市民=10日、平壌の金日成広場(AP)【拡大】
36年ぶりの朝鮮労働党大会が行われた北朝鮮の首都、平壌(ピョンヤン)の金日成(キム・イルソン)広場で10日、祝賀パレードが行われた。9日に閉幕した党大会では、党委員長に就任した金正恩(キム・ジョンウン)氏が2020年までの「国家経済発展5カ年計画」を発表し、建国の父で「永遠の主席」と崇拝されている故金日成主席の路線回帰をアピールした。
金正恩氏は故金日成主席が1994年に亡くなるまで続けた軍事開発と経済建設を同時に進める「並進路線」の採用を強調した。故金正日(キム・ジョンイル)総書記が推進したした「先軍(軍事優先)政治」では、核開発が進む一方で、経済は悪化し、90年代の干魃(かんばつ)や洪水による飢饉(ききん)では数十万人から百万人が死亡したとされる。
嶺南大学(香港)で非常勤教授を務めるブライアン・ブリッジズ氏は「金正恩氏は父、金正日氏の政治スタイルや政策から距離を置こうとしている。人前にほとんど姿を見せなかった父よりも祖父のような力強い指導者を目指している」とみる。
朝鮮戦争直後には金日成氏主導の国家再建で北朝鮮は一時的に隣国の韓国よりも経済的に豊かになった。しかし、韓国銀行(中央銀行)の試算によれば、韓国の2014年の国民1人当たりの総所得は北朝鮮の21倍強に拡大し、両国の格差は1990年の統計開始以来で最大となった。