糸を巻く横管巻機を操作する少女。ミャンマーの村の家内工場では多くの児童が雇用されている(1997年マンダレーに隣接するアマラプーラ郡にて筆者撮影)【拡大】
■人口・世帯センサスにみる農村の就業構造
2014年の3月から4月にかけて実施された「ミャンマー人口・世帯センサス」の主なデータ、すなわち都市農村別、男女別、世代別の人口、教育歴、識字率、人口移動などに関しては、昨年5月29日に公表された。この概要については、農村見聞録(26)(15年6月12日付)で述べた。
その後、センサス結果の第2弾が「就業および産業」と題して今年3月28日に発表された。今回はこのリポートをもとに、ミャンマーの労働力人口および就業構造を、1983年のセンサスからの変化および都市部と農村部との比較を念頭に入れながら考察してみることにしよう。
◆生産年齢人口が上昇
通常はどの国でも10年に1度は行われる人口センサスが、ミャンマーでは1983年以来31年間も行われてこなかった。この間、人口は約3412万から約5028万に増加した。年平均増加率は1.26%である。また都市化率は24.8%から29.6%に上昇した。それでも東南アジアで最も低い。
1983年の生産年齢人口(15~64歳)は約1963万人だったから、生産年齢人口対総人口比率は57.6%となる。これが2014年には65.6%に上昇した。低下している日本とは対照的に若い労働力が増加していることを示す。さらに、生産年齢人口に占める労働力人口、すなわち労働力率も、1983年の57.2%から2014年には64.4%に増えた。都市部では52.5から62.6%、農村部では57.6から69.1%への増加である。社会主義から市場経済へと移り変わる中で、労働市場への参加率が増えたと考えられる。