首都バンコクのコンピューター販売店を訪れた僧侶。タイ政府は積極的なIT政策を推進している(ブルームバーグ)【拡大】
タイは、政府がIT(情報技術)を活用したデジタルエコノミーを目指す一方、IT市場でのデータ保護やセキュリティー関連法の整備の必要性が指摘されている。現地紙バンコク・ポストによると、デジタル関連の権利保護活動などを行う米非営利団体(NPO)のビジネス・ソフトウエア・アライアンス(BSA)が発表したクラウド関連のランキングで、タイは24カ国中21位と低迷した。
BSAは3年に1度、世界のICT(情報通信技術)支出の8割を占める24カ国を対象に、データ保護やサイバー犯罪、知的財産権など7項目を数値化し、「グローバル・クラウド・コンピューティング・スコアカード」として発表している。2016年版は日本が前回に続き首位だった。
BSA幹部によると、タイは知財保護や高速大容量通信が可能なブロードバンドの普及拡大に成果がみられ、前回23位から順位を上げた。しかし、個人情報などのデータ保護や制度面の問題は解決しておらず、東南アジア地域のクラウド拠点を目指すのであれば政府による一層の努力が必要と指摘した。
また、同幹部はタイについて、外国からの投資を加速させ、クラウド関連のデータセンターの誘致を成功させるためには、政府によるデータの国外持ち出しを禁じたり、サーバーの国内設置を強制したりするデータ・ローカライゼーションの義務化は避けるべきだと提言した。