インド・シッキム州のオーガニック農園で、トマトの世話をする農業従事者ら(ブルームバーグ)【拡大】
インド北東部、ヒマラヤ山脈の麓のシッキム州で、州全体を有機農業に切り替える同国初の試みが行われている。生産性の向上および食糧難の克服と引き換えに、新品種や化学薬品への依存、過度の灌漑(かんがい)を引き起こした「緑の革命」から半世紀。中国、ネパール、ブータンと接する小さなシッキム州が「緑の革命」とは反対を行く有機農業の実験場になっている。
◆国内65万人が従事
シッキム州の取り組みをモディ首相も後押ししている。有機農業は、同国が抱える水路汚染や農地の質の悪化、食生活由来の疾病といった環境面、健康面での諸問題の解決策として期待できるためだ。加えて、有機農業は食料生産、農家の仕事確保、農薬への支出減のための安全で持続可能な方法でもある。同首相は5月、「シッキム州の取り組みは地域住民の収入に大きく貢献し続けるだろう」と評価した。
インドの有機農業従事者は、世界最多の約65万人に上る。昨年8月に議会の委員会が発表した報告書では、時期は明記されなかったが、有機農業の拡張によって資源のリサイクル、有機農産物の認証やマーケティング、包装などの分野で雇用が30%増える可能性が示された。