【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(39) (1/3ページ)

2016.12.23 05:00

キリスト経典を学ぶカシ村寄宿学校で昼食中の学生たち=2016年、シャン州ラーショー郡(筆者撮影)
キリスト経典を学ぶカシ村寄宿学校で昼食中の学生たち=2016年、シャン州ラーショー郡(筆者撮影)【拡大】

 ■シャン州のディアスポラと「新しい村」

 ミャンマーの北東部に位置するシャン州は、文字どおり、タイ民族に属するシャンの人々が多数を占める。ミャンマーの総人口の7割を占めるビルマ(ミャンマー)民族も、ここでは少数にすぎず、シャンの他に、パラウン、パオ、カチン、ダヌ、インダー、ワ、コーカンなど、多くの民族が居住している。今回は、その中でも特に「少数」のリス民族の話である。

 ◆リスの「難民」

 シャン州北部では今も国軍とパラウンやコーカン民族軍との戦闘が続いており、この地域で農村の調査をすることはすこぶる困難であるが、2016年夏、治安が比較的安定しているラーショー郡の農村を6カ村ほど調査する機会があった。その中で最も豊かに見えたのが、ラーショー市にほど近いカシ村であった。「カシ」とはリス語で「新しい村」という意味である。同村に住むフラースィーという長老が、その「新しい」歴史を語ってくれた。

 長老たちはもともとコーカン自治区コンジャン郡のシンタン村落区に住んでいた。中国との国境までほんの数キロしかない山中の村である。1960年代半ば、この地域に中国共産党の支配が及んできた。敬虔(けいけん)なキリスト教徒であるリス民族の人々は、信仰を抑圧する共産党の支配を嫌って、68年、近隣の村落区に住むリスの人々と図ってこの地を脱出することにした。

 200世帯余を糾合した大集団は、道なき道を南下してコーカンを出て、ミャンマー国軍がかろうじて掌握していたコンロンに達した。ここからは兵士を運ぶ軍用車両に乗せてもらい、ラーショーに到着した。ミャンマー政府はこの町よりもさらにマンダレー方面に向かったティーボーから北に向かう山間部の土地を提供することを約束したが、場所も地味もよくなかったので、リスの人々はこれを断った。

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