フィリピン、若年層のHIV感染拡大

 フィリピンは、若年層のHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染増加に神経をとがらせている。政府機関の国家青年委員会(NYC)によると、国内の新たなHIV感染者報告数は1日当たり29人(推定値)で、うち15~24歳の割合が62%に相当するという。現地紙インクワイアラーなどが報じた。

 HIVは血液や精液などの体液を通じてヒトの免疫細胞に感染する。さまざまな感染症を引き起こし、最終的に後天性免疫不全症候群(エイズ)を発症させる。

 フィリピン保健省によると、同国は1984年1月に初めてHIV感染が確認された。今年10月末までの累計感染者数は、3万8114人となっており、うち15~24歳は1万278人だった。また、全体の83%が2011年1月以降の感染確認で、感染ペースは加速している

 NYC幹部は、無防備な性交渉が若年層の感染拡大の要因と指摘。「若者たちに正確な情報を提供し、正しく判断できるようにしなければならない」と主張した。保健省は、対策が後手に回れば22年までに感染者数が13万人に達する恐れもあると危機感をつのらせており、来年以降、教育現場での啓蒙(けいもう)活動などを強化する方針だ。