
マニラの研修施設で、日本式の正しいお辞儀を練習するフィリピン人研修生ら(ブルームバーグ)【拡大】
2人の子供を持つパソナの澤藤氏も、母親の介護とのいわゆるダブルケアが必要で、家事代行サービスを利用している。「誰かに助けを求めないと仕事はできないし、自分の生活もままならない」と実感している。
香港やシンガポールなどでは、家事代行の分野で既にフィリピン人など多くの外国人が働く。大半が住み込みだが、日本の特区では認められておらず、企業が用意した寮に入居して複数の家庭を通いで回る。パソナでは1回2時間で5000円ほどの料金でのサービス提供を想定している。
日本における外国人労働者は増え続けている。厚生労働省の「外国人雇用届け出状況」によると、15年10月末現在の外国人労働者数は約90万8000人に上る。08年に比べほぼ倍増したが、その多くが製造業で働く。
しかし、日本社会では一般に外国人の受け入れに慎重な声も少なくない。産経新聞が16年2月に実施した世論調査では、「日本が移民や難民を大規模に受け入れること」に68.9%が「反対」と答えた。「賛成」は20.2%だった。
元経済財政担当相で政府の国家戦略特区諮問会議の議員を務める竹中平蔵パソナ会長は昨年10月のインタビューで、外国人労働者の受け入れによって「国内の治安が悪化するのではないかという心情的な反発がものすごく強い」と指摘する。
澤藤氏によると、パソナでは日本社会に溶け込みトラブルなくサービスを行う姿勢について厳しい基準を設けている。実際、中間チェックで2人が不合格となったという。「信頼のおけるサービス」にするには資質の見極めも必要で、受け入れ事業を軌道に乗せるのは「簡単ではない」と話した。
竹中氏は「ドラスチックに変わるわけではないが、少しずつ皆が理解していき、制度を変えていく。非常に日本的なやり方をとろうとしている」と語った。