
マニラの研修施設で、日本式の正しいお辞儀を練習するフィリピン人研修生ら(ブルームバーグ)【拡大】
◆厳しい現行制度
「多くの女性が市場の主人公となるために家事の補助などの分野に外国人のサポートが必要だ」。14年1月に安倍晋三首相が外国人による家事代行を提唱してから約3年がたつ。同年3月施行の政令には家事支援を行う外国人の要件として、実務経験1年以上、必要最低限の日本語能力などが列挙されている。
家事代行のベアーズは大阪府から事業認定を受け、フィリピン人のスタッフを採用する。しかし、高橋ゆき副社長は、現行ルールでは「100%赤字プロジェクト」と言い切る。日本人スタッフも資格は問わず、人柄を見て採用した後にトレーニングする。企業側に「採用を任せてもらってもいいのでは」と問題提起する。
菅義偉官房長官は5日の定例会見で、事業開始まで時間がかかった理由について14年の衆院選による法施行の遅れなどを挙げ、「初めてのことで調整があった。いよいよ来月からということになる。幅広く利用してもらえるような仕組みにすることが政府の役割だ」と述べた。
◆老人介護の人材不足
高齢化が進む日本では、老人介護も外国人労働者に頼らざるを得ない状況だ。
厚労省が15年に公表した介護人材の需給推計によると、団塊の世代が75歳を超える25年には全国で約38万人の人材不足が生じる。
介護分野では、すでに経済連携協定(EPA)などで就労を認められた外国人が働いているが、政府は16年に途上国の人材育成を目的とした外国人技能実習制度の対象職種に介護を加えることを決め、外国人の一層の活用にかじを切った。
「大丈夫ですか。のみ込めましたか」。東京都八王子市の永生病院では、フィリピンから7年前に来日した介護福祉士のジョン・デンマーク・ピネダさん(31)が流暢(りゅうちょう)な日本語で高齢者に語りかける。