インド、20人に1人が鬱症状 企業などメンタルヘルス重視の動き

通勤時間帯の駅構内を行き交う人々。インドは生活様式の変化とともに、メンタルヘルスの重要性が増している=西部ムンバイ(ブルームバーグ)
通勤時間帯の駅構内を行き交う人々。インドは生活様式の変化とともに、メンタルヘルスの重要性が増している=西部ムンバイ(ブルームバーグ)【拡大】

 インドは、鬱対策などメンタルヘルスケアの重要性が高まっている。同国のメンタルヘルス神経科学協会は、インド国民の20人に1人が鬱症状を抱えているとの調査結果を発表した。同国では感染症や糖尿病などに比べてメンタルヘルスが軽視されがちだったが、健康意識や医療体制の変化もあり、医療現場や企業などでも相談窓口が広がっているという。現地紙タイムズ・オブ・インディアなどが報じた。

 同協会によると、2016年の抗鬱薬の新規処方件数は全国3460万件に上り、15年の3350万件から100万件以上の増加となった。なかでも、メンタルヘルスを専門とする精神科医による処方は前年比14%増のもようだ。

 調査結果について、同協会の幹部は「鬱症状を抱え込まずにオープンに救いを求める人が増えていることと、精神科医を中心とする医療体制が拡大していることが要因」と分析した。同国ではここ数年、精神科医が増加傾向にあり、年平均で360人が新たに医療現場に加わっているという。

 企業も従業員のメンタルヘルスを重視し、必要なケアを提供する動きが出はじめた。

 食品会社のモンデリーズ・インディアは、従業員やその配偶者に対し、出産や育児に関する電話相談や情報提供を行っているほか、専門家の講習会などを行っている。

 また、IT(情報技術)会社のアスパイア・システムズでは14年後半にカウンセリング制度を導入した。これまでに98人が制度を利用し、仕事と生活の両立や経済的な重圧、外見などさまざまな相談が寄せられているという。このほかにも、コカ・コーラ・インディアが禁煙や禁酒、過食対策に関する無料カウンセリングを提供するなどしている。

 専門家は、業務の重圧が原因で睡眠不足に陥る従業員や、ストレスからくる過食や拒食に悩む若手従業員などが増えていると指摘。企業に必要なのは、従業員が相談しやすい環境づくりだと提言した。(ニューデリー支局)