
エンゲル係数の推移【拡大】
他方、食生活の変化もエンゲル係数を押し上げた。調理食品への支出は5.3%増え、食費全体の伸び(1.5%増)を大きく上回った。共働きやお年寄りの世帯が増え、手間が掛からない総菜や弁当をコンビニエンスストアなどで買い求める人が増えているためだ。調理食品は食材より値段が高く、購入が広がればエンゲル係数の上昇要因となる。
洋服などへの支出を抑える一方、買い物より体験を重視する「コト消費」が人気を集め、外食費が削られにくくなっているとの指摘もある。
第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「食文化が成熟し、エンゲル係数の上昇がそのまま生活の困窮を示すわけではなくなった。生活水準を測るにはコメや小麦粉など必需品の支出の推移を見る必要がある」と指摘している。