官邸に入る安倍晋三首相。朝鮮半島情勢に政府は厳戒ムードだが、日本経済への影響も懸念される=11日、首相官邸(斎藤良雄撮影)【拡大】
朝鮮半島情勢が日本経済に暗雲となっている。すでに金融市場ではリスクを織り込む格好で円高・株安が加速し、観光業界などに影響が広がり始めたが、「Xデー」とも目される故金日成主席の生誕記念日の15日がいよいよ迫る中、第二次朝鮮戦争など、いざ半島が有事となった場合に、経済へどんなインパクトが想定されるのか。市場関係者の見方を探った。
直接的には金融市場への影響がいち早く懸念される。13日の東京株式市場の日経平均株価は続落し、年初来安値を連日で更新した。終値は、前日比125円77銭安の1万8426円84銭。朝鮮半島情勢に加え、一段と緊迫化するシリア情勢や、「日米ハイレベル経済対話」初会合を控える中、トランプ米大統領がドル高を牽制することで、一層円高が進んで売りが出ている。輸出採算の改善期待が後退し、自動車株が軟調な展開だ。
朝鮮半島有事となった場合、まずはリスクオフとしての円高が加速するとの見方では、市場関係者はおおむね一致する。野村証券の桑原真樹シニアエコノミストは「すでに市場の動きがそうだし、セオリーとしては円高シナリオ」と指摘する。実際に米軍による先制攻撃が実施されれば、株式市場でも「下落方向に働く可能性をみておかなければいけない」と警告する。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストも、第二次朝鮮戦争が勃発した場合、初期反応としてリスクオフの円買いが急速に進む可能性が高いとし、交戦国の通貨である米ドルと韓国ウォンは条件反射的に売りを浴びると指摘。「米国に関しては戦費による財政赤字の増加、韓国に関しては戦争被害、難民流入という難題が悪材料視されやすい」とも見通している。