資源の枯渇が懸念されている太平洋クロマグロのうち、国際合意で決められた30キロ未満の小型魚の漁獲量が月内にも上限を超えることが17日、分かった。国内の沿岸部で違法操業などが相次いで発覚していることもあり、日本の資源管理の姿勢に海外の批判が集まることは避けられない。
太平洋クロマグロの資源量を回復させるため、国際機関の中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)は平成27年、30キロ未満の小型魚の漁獲量を14~16年平均の半分にする規制を導入した。日本の上限は4007トンに設定された。
漁業者が多い沿岸漁業は7月から翌年6月までを1年の単位としている。28年度については、4月14日時点で漁獲量は3994トンに達し、上限までわずか13トンとなった。
水産庁は漁業者に禁漁を強制できないうえ、ほかの魚と一緒に混獲してしまうこともあるため、上限超えは避けられない状況になっている。一方、上限を超過すると、超過分が翌年度の漁獲枠から差し引かれる。
このため、水産庁は今月中に、クロマグロに総漁獲可能量(TAC)制度を適用する政令改正を行い、30年以降は上限を超えて漁を続けた漁業者に3年以下の懲役、200万円以下の罰金を科すなど、規制を強化する方針だ。
太平洋クロマグロをめぐっては、昨年、三重県で割当量を超えて漁獲する違反があったほか、各地で許可のない漁業者による違法操業など、不正が相次いだ。