首都バンコクで人気の市場の一角に飾られたハーレーダビッドソンの二輪車(ブルームバーグ)【拡大】
米大型二輪車メーカーのハーレーダビッドソンは、タイに生産施設を設置する。東部ラヨン県に組立工場を建設、2018年後半に生産開始の予定だ。同工場を拠点に、販売拡大が見込まれる東南アジア諸国連合(ASEAN)や中国市場に攻勢をかける。現地紙ネーションなどが報じた。
同社のアジアにおける生産拠点は、11年のインドに次いで2カ所目となる。投資額は明らかにしていない。同社はタイに販売店と販売研修施設を設置している。タイでの同社の二輪車登録台数は16年末時点で約1万台。
同社の広報担当者は、タイでの現地生産により、現行の最大60%とされる輸入関税が不要となり価格面で競争力が高まると説明した。加えて、ASEAN域内では18年に関税が撤廃されるため、タイから域内各国への輸出拡大を図る。さらに、タイを拠点に中国市場への攻勢も視野に入れている。
同社は、16年の米国での販売台数が前年比3.9%減と低迷するなか、国外での販売台数は同2.3%増と好調だ。今後、国外での売り上げ増に注力し、売上高国外比率を16年の3割から10年後には5割を目指す。
米国を代表する二輪車メーカーが国外での生産拠点設置を明らかにしたことを受け、米国の一部の労働組合からは、米国での雇用喪失につながると反発の声が上がった。それに対し、同社の広報担当者は、アジアでの事業拡大を図るのが目的だとし、タイでの生産により米国での生産規模を縮小することはないと強調した。(シンガポール支局)