【ワシントン=小雲規生】米司法省は20日、世界最大の闇サイト「アルファベイ」を欧州やアジアの司法当局と連携して摘発したと発表した。アルファベイでは摘発時、違法薬物や毒性のある化学物質の販売告知が25万件以上出ていたほか、偽造身分証明書、銃器なども販売されていた。4万人の売り手が参加し、20万人超の顧客が利用していたという。
司法省は、サイトの創設者でカナダ人のアレクサンドル・カゼス容疑者(25)が居住先のタイで5日に逮捕されたことも公表。カゼス容疑者は拘留中の12日に自殺した。
カゼス容疑者と妻がタイ、キプロス、リヒテンシュタインなどで保有していた資産は押収された。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)はカゼス容疑者はランボルギーニなどの高級車10台、1800万ドル(約20億円)相当の金融資産を保有していたとしている。
摘発にはタイ、オランダ、リトアニア、カナダ、英国、フランスの司法当局と欧州警察機関(ユーロポール)が協力した。オランダ当局は20日、別の闇サイト「ハンザ・マーケット」を摘発したと発表した。
アルファベイなどの闇サイトは「ダークウェブ」と総称され、アクセス元の場所や端末を特定できないようにする匿名化ソフト「Tor(トーア)」などを使わないと閲覧できない。このため違法薬物などが扱われていても、販売者や購入者の特定は難しい。取引にはビットコインなどの仮想通貨が使われる。