韓国・ソウルの駅で、北朝鮮のミサイルをめぐるニュースに見入る男性。軍事衝突が起きれば世界経済に大きな影響が出る=9日(AP)【拡大】
北朝鮮は10日、米領グアムに対する具体的なミサイル攻撃計画を表明し、米国などとの緊張が一段と高まった。英調査会社によると、緊張が軍事行動に発展した場合、世界経済が大打撃を受けるのは避けられない見通しだ。
グアム島攻撃検討
朝鮮人民軍戦略軍は同日、朝鮮中央通信(KCNA)を通じ、北朝鮮が中距離戦略弾道ミサイル「火星12」を同時に4発発射し、グアム島への包囲攻撃を行う計画を真剣に検討しているとする声明を発表した。計画を8月半ばまでに完成し、金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の承認を得るため提出するとしている。
マティス米国防長官は「米国と同盟国は攻撃に対する防衛能力と、国防への揺るぎない決意を明らかにしており、北朝鮮がいかなる軍拡競争もしくは紛争を仕掛けても同国は敗北するだろう」との声明を発表した。
韓国軍合同参謀本部も10日、北朝鮮がグアム島に向けてミサイルを発射するという挑発を実行すれば、強力な対応に直面することになると警告した。
緊張の高まりを受け、9日の米株式市場では防衛関連株が買いを集め、5銘柄で構成されるBI北米防衛プライム・トップ・ピア指数(BIDEFCNT)は一時1.6%高となった。レイセオンが同指数の上昇を牽引(けんいん)し、ロッキード・マーチンとノースロップ・グラマンがこれに続いた。ただ、米金融大手ゴールドマン・サックスは9日のリポートで「緊張が高まり続け、北朝鮮の核開発計画の前進が続く中でも市場は、今回は状況が違うという十分な根拠をまだ認識していない」と指摘。北朝鮮リスクは上昇しているものの、市場にはまだ織り込まれていないとの認識を示した。