輸入業者は関税引き上げなどにより、過去にも事業縮小を強いられてきた。業界関係者は「規制のたび、最も打撃を受けるのは日本製の中古車だ」と断言する。反発を強めた中古車販売業者らが抗議集会を開催。当局が中古車への取り付け業者を公認したが、1台当たり2万7000ルーブル(約4万9950円)のコストや、作業の遅れへの不満は解消されていない。機器の供給不足も指摘され、発注から作業完了まで3カ月かかる状態が続いたという。
こうした状況で、非公認の「闇業者」が機器の迅速な販売・設置を約束する代わりに、価格をつり上げ始めた。中古車販売業の男性は「闇業者に頼むとすごく早い。5万ルーブルで1カ月以内、7万ルーブル払えば3日でできる」と話す。
さらに7月下旬になり、極東における数少ない公認業者だった自動車販売大手スモートリの公認が突然取り消された。ウラジオストクでの取り付け作業はさらに停滞し、混乱が広がっている。(ウラジオストク 共同)
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【用語解説】ロシア極東の中古車輸入
ロシアは長らく日本の中古車輸出における主要な輸出先の一つだった。財務省の貿易統計によると、ピークだった2008年の中古乗用車輸出は約52万台で輸出全体の半分近くを占めた。その後、関税引き上げや通貨ルーブル安の影響で減少し、16年は約4万3000台にとどまった。だが、地理的に近いロシア極東では、現在も輸入中古車の7割以上が日本製との統計もあり人気は根強い。伏木富山(富山県)や舞鶴(京都府)、小樽(北海道)の港などから運ばれ、流通拠点のウラジオストクを経由しロシア国内へ販売されている。(ウラジオストク 共同)