農家の減収、穴埋めに531億円 農水省概算要求案 収入保険、減反廃止にらみ新制度

 農林水産省は25日、災害や農産物の価格下落による農家の減収を穴埋めする新制度「収入保険」について、平成30年度予算の概算要求で531億円を計上する案を自民党の会合で示した。30年産米から国が全国の生産数量目標を策定し配分する生産調整(減反)制度が廃止されるのに伴い、農家の収入を安定させ不安解消につなげるのが狙いだ。

 農林水産関係予算の概算要求の総額は29年度当初予算比15%増の2兆6525億円で、今月末に財務省に提出する。31年1月に導入する収入保険は保険料や積立金の一部を国費で賄い、災害などで農家の収入が減っても平均収入の8割台を確保できる制度を想定。政府・与党が今秋まとめる減反廃止を受けた経営安定化対策の目玉になる。

 少子高齢化や食生活の洋風化などで、生産量の約9割を占める主食用米の消費量は年間8万トンペースで減少している。農水省は主食用米が余り価格が下落しないよう、昭和45年から減反で需給を調整してきた。毎年11月に翌年産の作付面積の目標を策定し、各都道府県に配分する仕組みだ。

 ただ、政府目標を守った農家に補助金が出る今の制度では、現場の創意工夫が妨げられ、単価が安い業務用米の供給量も増えない。

 農水省は国が需給調整の旗振り役から降りることで農家の経営感覚が磨かれ、農地の集積や大規模化が進むなど国内農業の競争力が向上するシナリオを描く。主食用米に比べて消費量が伸びている業務用米や大豆、小麦などへの転作も加速すると期待している。

 食料の安定供給や水害対策を考慮すれば、全国の水田は守る必要がある。約半世紀続いた減反制度を円滑に廃止できるかが、政府が掲げる「農業の成長産業化」に向けた大きな試金石となる。