財政再建、試される本気度 公約財源捻出、歳出入改革踏み込めるか (1/2ページ)

記者会見する安倍首相=23日午後、東京・永田町の自民党本部(斎藤良雄撮影)
記者会見する安倍首相=23日午後、東京・永田町の自民党本部(斎藤良雄撮影)【拡大】

 衆院選で与党が勝利したのを受け安倍晋三政権の経済財政政策が再始動する。消費税増税分の使途を見直し、教育無償化を中心とした「人づくり革命」に充てるのが柱だが、その分不足する財源の捻出に向けた議論は置き去りのままだ。財政健全化目標の達成時期も先送りされ、日本の財政運営に対する姿勢が問われる中、痛みを伴う歳出改革を盛り込んだ財政再建の指針を早急にまとめる必要がある。

 「社会保障制度を全世代型へと大きく改革する」

 安倍首相は23日の記者会見でこう述べ、人づくり革命に取り組む姿勢を表明した。自民党の選挙公約では2019年10月に消費税率を8%から10%に引き上げた上で、増収分として見込める5兆円超のうち2兆円規模を教育無償化などの子育て支援に振り向ける方針を明記した。連立を組む公明党も増税分の教育財源化で足並みをそろえ、私立高校授業料の無償化にまで踏み込んだ。従来の増税分の使途は借金の抑制に充てるはずだったため、その分だけ、財政健全化は遠のく。

 自民、公明党が掲げる教育無償化の狙いは、低所得世帯への支援拡充で教育格差の是正を進め、加速する少子化に歯止めをかけることだ。しかし、必要となる財源は巨額だ。3~5歳の幼児教育と0~2歳の保育の全面無償化には年間約1兆2000億円、高等教育無償化は、低所得世帯向けに限ったとしても数千億円が必要になる。しかも両党は消費税増税と同時に軽減税率を導入すると公約に明記しており、追加的な財源として別途約6000億円の確保が必要だ。

試される安倍政権の決意と本気度