日銀・黒田総裁の再任論浮上 与党圧勝で金融緩和維持の味方強まる

日銀の黒田東彦総裁
日銀の黒田東彦総裁【拡大】

 来年4月で任期が切れる日銀の黒田東彦総裁の再任論が浮上した。衆院選で与党が圧勝したことで、経済政策「アベノミクス」の加速に向けて、金融緩和政策が維持されるとの見方が強まっているためだ。2%の物価上昇目標こそ達成できていないが、景気拡大を持続させ、デフレでない状況を作り上げたことも再任論の根拠となっている。

 安倍晋三政権の継続で、北朝鮮対応や教育無償化などの重要政策の前進が期待される一方、金融政策については、2%目標に向けて粘り強さが求められている。

 2%目標が事実上の中長期の目標となる中で、大規模金融緩和政策は当面続けられる見通し。黒田総裁が続投すれば金融政策の安定にもつながる。また、将来、緩和政策を手じまいする「出口」に向けての道筋や方法を示す必要もあり、「市場との対話を重視する方向に切り替えた黒田総裁は適任」(エコノミスト)との声も出ている。

 ただ、日銀の135年の歴史の中で、2期続けて総裁を務めた人物はいない。金融政策のかじ取りについても、米欧が2%の物価目標を実現しないまま出口に向かっている現状もあり、「日銀の2%目標をリセットするには総裁交代しかない」との声もある。

 黒田総裁の後任候補としては、日銀現執行部の中曽宏副総裁や雨宮正佳理事の他、黒田総裁にインフレ目標政策を指南したとされる伊藤隆敏・コロンビア大教授などの名前も挙がる。