ボロマンションが億ションに 崩壊しない中国の不動産バブルに“3大悪人”の影 (1/5ページ)

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 「いまに破裂する」といわれながら、中国の不動産バブルはなかなか破裂しない。実は「すべての土地は政府所有」であるはずの中国で不動産が売買されるようになってから、まだ20年ほどしかたっていない。価格の急上昇を演出するのは地方政府、開発業者、そして銀行の「3大悪人」だ。官製の「土地資本主義」はいつまで続くのか--。

 土地の流通が始まってまだ20年

 中国では土地は国有で、そこには地価というものがなかった。そんな中国で住宅の流通が始まったのは90年代だった。わずか20年ほど前の1998年、中国政府は住宅の現物支給を打ち切り、「住宅問題は自助努力で解決せよ」と政策を転換させたのである。貨幣価値を持つようになった土地は、「使用権」を開発業者に競り落とさせる方式で流通を始め、商品化した住宅の市場は一気に拡大した。

 同じ時期、上海郊外で「土地の利用効率を高めよう」という政府のスローガンを掲げた横断幕が張られた。これはまさしく「土地の商品化」を象徴するものだった。筆者が90年代末に訪れた上海市嘉定区の農村は、2000年代後半にはすっかり住宅地に変わってしまった。

 90年代末から2012年までに中国は「超高度経済成長」を達成したが、これを牽引したのは、住宅に対する膨大な潜在需要に伴うセメント、鉄鋼などの重厚長大産業だった。また、中国では「不動産、建設業だけでざっとGDPの1割を占める」と言われるが、ゼロから始まったこの分野はとてつもない巨大産業に成長した。

 実は日本人も中国で儲けた

 筆者は中国の不動産市場を、上海を拠点に定点観測している。筆者が上海で生活を始めたのは1997年のことだが、90年代末にはすでに目端の利く日本人が、中国人を名義人にして住宅を購入していた。その後、規制は緩和され、上海で1年以上居住すれば外国人でも不動産を購入できるようになった。中国不動産の恩恵にあやかったのは、中国人だけではなかったのである。

「住宅の頭金が欲しくて」不正に手を染めた社員も