豪華船上シアターでリピーター狙え (3/3ページ)

 ◆新たな収益源を確保

 奏功している戦略はこれだけではない。ロイヤルカリビアンの姉妹ブランド、セレブリティ・クルーズは空中芸やハイテク効果も駆使した独自のショーを制作し、その数は既に18作品に上る。また、米カーニバル・クルーズ・ラインでは大ホールでのミュージカル上演を35~45分に短縮させ、漫談やライブ演奏も楽しめる選択肢を加えた。同社娯楽部門副責任者のサラ・ベス・レノ氏は「若い人たちはより多くの選択肢を求めている」と指摘する。

 近年の業界動向についてMSCのグラディング氏は「乗客は利用可能なもの全てを見て歩き、経験したいのだ。私はこれをビュッフェ症候群と呼んでいる」と語る。

 こうした“船上シアター”の集客効果は業績に表れている。新たにお目見えする娯楽の一部は別料金なため、新規の収益源が確保できるためだ。ちなみにMSCのシルク・ドゥ・ソレイユのショーは食事付きで42ドル、なしで18ドル。セレブリティのショーも価格未定ながら有料だ。

 2010年に食事付きのサーカス公演を初めて導入したノルウェージャンでは、収益増は明らか。245席の劇場を擁する同社のブレイクアウェイ号では週9回の公演があり、料金は食事込みで39.99ドル。この船だけで年間450万ドルの興行収入を稼ぎ出している。

 同社セレブリティ娯楽部門のベッキー・トンプソン・フォーリー氏は「顧客にとって、娯楽が決め手になってきているのは明らかだ」と指摘。グラディング氏も「娯楽は彼らが予約を申し込む理由ではない。リピーターになる理由だ」と語る。

 船上のショーが高度化した理由は、簡単に言ってしまえばカネだ。クルーズ会社は才能ある演者や有名な演出家や振付師、衣装やセットのデザイナーとの提携に投資し、最先端の設備を備えるなど練習施設にも力を入れている。(ブルームバーグ Fran Golden)