TPP11大筋合意 「凍結」項目決着、名称変更へ 閣僚会合


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 【ダナン=田辺裕晶】環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加11カ国は9日の閣僚会合で、米国離脱を受けた新協定について大筋合意した。米国の復帰まで協定の効力を棚上げする「凍結」項目の絞り込みが決着、10日の首脳会合で報告して正式に発表する。

 共同議長を務めた茂木敏充経済再生担当相は9日夜、記者団に「アジア太平洋地域で、自由で公正なルールをつくる参加国の共通した決意の表れが難しい課題の克服につながった」と強調。「11カ国はできるだけ早期に発効させたいとの思いを持っている」と述べた。合意を受け、TPPの名称を変更し、10日に公表するとも明らかにした。

 9日昼の閣僚会合では、日本が新協定案と凍結項目のリストを提示したが、凍結項目の選定で合意できなかった。このため、首席交渉官による折衝に加え茂木氏も各国閣僚との個別会談で説得を図り、再度開いた夜の閣僚会合で決着した。

 10日に発表予定の合意内容では、当初、50項目程度あった各国からの凍結要望は大幅に絞り込まれたもよう。米国の強い要望で盛り込んだ医薬品データの保護期間を実質8年間にする規定や、特許期間の延長措置などが対象になる。

 一方、ベトナムが難色を示す繊維製品の関税撤廃・削減対象を厳しく制限する規定や、企業と進出先国との紛争解決手続きなど協定の自由化水準を著しく押し下げかねない項目でも凍結要望が出ていた。日本はこうした要望の取り下げを求めたが、合意は全会一致が原則で調整が難航した。

 各国は大筋合意発表後、条文の法的整合性などを確認し、署名式を行う予定。12カ国が現協定に署名したのは2016年2月4日だが、今回は日程を早めるよう求める声があり、式典を来年1月ごろ東京で実施する案が浮上している。