「住民税が流出しています」 ふるさと納税で税収減、東京・杉並区が危機感訴え

東京都杉並区が配布した、ふるさと納税制度による行政サービスが低下しかねないと訴えるチラシ
東京都杉並区が配布した、ふるさと納税制度による行政サービスが低下しかねないと訴えるチラシ【拡大】

 「住民税が流出しています」-。杉並区は、ふるさと納税制度を多くの住民が利用すると区の歳入が減り、行政サービスが低下しかねないと訴えるチラシを、11月から区内で配布している。返礼品による経済活性化など一定の成果を上げているふるさと納税だが、利用者の増加に伴い、税収を失う都市部自治体の反発も強まっている。

 チラシは区の税収が減少することで、学校や保育園、道路の整備、ごみ処理などに深刻な影響が生じるイメージをイラストで表現。平成28年の寄付額に基づく29年度の住民税の減収が約13億9千万円に達し、30年度はさらに増えるとの見通しをグラフで示した。

 2万5千部を印刷し、区役所や区民センターで配布、自治会の回覧板にも添付した。減収額は住民税全体の数%だが、行政サービス縮減の懸念があるとして担当者は「チラシを見て、寄付を踏みとどまる区民がいればいい」と期待する。

 区ホームページでも「ちょっとヘンだぞふるさと納税」のタイトルで、豪華な返礼品により寄付集めを競う自治体の動きを批判。区内のイベントでは、住民税の減収額が認可保育所3~4カ所の整備費に相当することなどを職員が説明しているという。

 東京23区でつくる特別区長会によると、ふるさと納税の影響による23区の減収は29年度の総額で約232億円となり、28年度の約130億円から急増。今年3月には総務省に対し、過剰な返礼品の是正など制度の見直しを求めた。

 総務省は「都市部を中心に税収減への懸念があることは承知している」としており、高額な返礼品の見直しなどを通じて、制度への理解を求めていく方針だ。