日欧EPA&TPP11 林業にダメージ深刻…安価なアジア産と高級欧州品の板挟み 畜産・果樹も影響大 (1/2ページ)


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 日欧EPAとTPP11の発効で、国内の農林水産業の生産額は最大で約2600億円減少することが政府の影響試算で明らかになった。既に弱体化している国内林業にとって、アジア産の安価な木材と高品質な欧州産木材の輸入はだめ押しとなりかねない。畜産や果樹などでも影響は大きく、生産性や収益性を高める改革は待ったなしだ。

業界立て直し、頓挫しかねず

 日欧EPAで試算した28品目中、最も生産額が落ち込むのは建物の柱などに用いる構造用集成材で最大371億円の減少を見込む。TPP11でも合板などの生産額が212億円減少する。フィンランドやドイツなどは高度な木材加工技術を誇り最先端の木工機械の開発も盛んだ。安定した供給量と高い技術力で国際競争力が強い。

 一方、担い手不足に悩む日本は加工技術の立て直しにかじを切ったばかり。国内人工林の約半数が加工に適した成熟期を迎えたことを追い風に高付加価値化を目指すが、東南アジアや米国から流入している安価な外材と高品質なEU産との板挟みで、緒に就いたばかりの改革が頓挫しかねない。

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