印「クリーン・インディア」開始3年 遅れるトイレ普及、商機620億ドル

「クリーン・インディア」政策により設置された公衆トイレ=インド北部ハリヤナ州(ブルームバーグ)
「クリーン・インディア」政策により設置された公衆トイレ=インド北部ハリヤナ州(ブルームバーグ)【拡大】

 インドは、国内の衛生状況改善を目指す「クリーン・インディア」政策の開始から3年が経過した。同政策では2019年10月までに屋外での排泄(はいせつ)行為の根絶を目指しており、開始から現在までに5380万カ所でトイレを設置した。政策の進展を受け、衛生設備関連の業界では、今後、600億ドル(約6兆8000億円)以上の商機が訪れる見通しだ。現地紙ヒンドゥスタン・タイムズなどが報じた。

 同国は劣悪な衛生環境が経済発展の妨げの一つとみられており、14年5月に発足したモディ政権は、同年10月にクリーン・インディア政策の開始を宣言した。以降、同政策に基づき全国規模でトイレ設置を進めてきたが、州別にみると、設置目標をクリアしているのは西部グジャラト州のみと、全般的に普及に弾みがつかないもようだ。

 米慈善団体ウオーターエイドによると、インドは依然として総人口の56%に相当する7億3200万人(うち女性3億5000万人)がトイレを利用できない環境で生活し、世界で2番目に多い中国(3億4350万人)の倍以上となっている。インド政府は19年10月までに1億2000万カ所でトイレを設置する方針だ。

 電子ニュースメディアのクオーツ・インディアによると、衛生問題の解決を目指す企業・団体で構成する国際団体トイレット評議会連盟(TBC)は、インドでは同政策の推進を受け、21年までにトイレの設置をはじめとする衛生関連で620億ドルの商機があるとみる。

 ただ、11月に国連が発表した特別調査報告書では、インドはクリーン・インディア政策について、人権を基本に据えたアプローチが欠如していると厳しく評価された。数値目標を追うあまり、自治体レベルでは強引な手法が目立つなどとしている。

 2週間の現地調査を実施した報告書担当者は、安全なトイレは33%にとどまると指摘した。そのほか、現状では安全だが将来的に改修が必要なものが35%、健康に悪影響を及ぼす可能性があり即時改修が必要なものが31%としている。

 インド政府は、同報告書が発表された直後、「限定的な調査で得た不十分な情報に基づくもので、正確ではない」との声明を出し、内容を全面的に否定した。「インドの政策は(国連のシステムによって構築された)人権基準を完全に満たしている」としている。(ニューデリー支局)