【中国電子マネー事情】(中)スマホ決済業者、どう収益化? ビッグデータで消費を“見える化” (2/2ページ)

アリババの「支付宝(アリペイ)」を使って個人情報を登録した会員だけがスマホで決済できるスーパー「盒馬鮮生」。買い物客が係員からセルフサービス会計の説明を受けている=上海市(河崎真澄撮影)
アリババの「支付宝(アリペイ)」を使って個人情報を登録した会員だけがスマホで決済できるスーパー「盒馬鮮生」。買い物客が係員からセルフサービス会計の説明を受けている=上海市(河崎真澄撮影)【拡大】

 馬会長が狙う“見える手”のビジネス実験は既に始まっている。北京市、上海市、広東省深セン市、浙江省杭州市、貴州省貴陽市で計20店舗となったスーパー「盒馬鮮生」だ。上海市内の店舗の作りは一般大型スーパーと大差ないが、現金やクレジットカードは受け付けない。アリババの「支付宝」を経由した登録会員のみが専用アプリで代金を支払う。市価より割安に設定されている商品が多い。

 個人情報の付加価値

 店内にある水槽から水産物をすくい上げ、その場で調理して持ち帰ったり、店内で食べたりするスーパーとしては珍しい新しいサービスも受けている。スマホ経由でほとんどの商品をその日のうちに宅配してもらうことも可能だ。ただ、いずれの決済も専用アプリで管理されるため、どこの銀行口座に残高がいくらある何歳の人物が、どのような商品をいつ、いくらで購入し、アプリでそのサービスをどう評価したか、全て把握されるシステムになっている。

 スーパーでひとたび買い物すれば、アプリから「あなたにお勧めの商品」がどんどん紹介されてくる。メーカー側とも消費者の行動パターンや地域差などの情報が共有されれば、新たなマーケティングも広がる。日本でもコンビニやスーパーで普及している「POSシステム」は商品売り上げ情報を集計し、売り上げや在庫を管理することは可能だが、「どこのだれが、いつ何を」という個人情報が付加されるメリットは事業者やメーカーにとっては大きい。(上海 河崎真澄)

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