生産性高め「稼ぐ力」に磨きを 人手不足は収益構造変革のチャンス (2/2ページ)

東京・浅草の浅草寺「仲見世商店街」(AP)
東京・浅草の浅草寺「仲見世商店街」(AP)【拡大】

  • 産経新聞論説副委員長・長谷川秀行

 この状況を嘆いても仕方がない。むしろ、欧米と比べ、生産性を引き上げることで成長できる余地が大きいと前向きに考える発想があっていい。人手不足は収益構造を抜本的に変革するチャンスだと捉えるべきだ。

 環境整備が重要

 企業がIoT(モノのインターネット)やビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットなどの技術革新をいかに活用するかは、引き続き重要である。

 これらを導入した企業に対する内閣府の意識調査では、半数近くの企業が新商品開発や新規顧客の開拓で成果があったと回答した。これはコスト削減を成果とする回答よりも多い。新技術の導入は、合理化や省力化にとどまらず、新たなビジネスの広がりをもたらすのである。

 円安などで収益が改善した企業が現預金をため込むことへの批判は根強い。過剰債務で苦しんだ過去の経験を踏まえ、財務内容を筋肉質にしようとする経営判断はもちろんあろう。

 だが、個々の企業にとって合理的な行動であっても、それが経済全体に広がると景気を冷やす要因となることがある。いわゆる「合成の誤謬(ごびゅう)」である。

 これを避けるためにも、企業に投資を促す政府の役割は当然大きい。デフレ期の需給ギャップが改善してきた今、財政や金融でやみくもに景気を刺激する緊急性は薄れた。大切なのは規制改革などで企業の活力を引き出す環境整備だ。それに企業はどう応えるか。政府が掲げる生産性革命の成否も民間の創意工夫にかかっているのである。