デング熱ワクチンで明暗 サノフィ使用制限、武田薬は最終段階

 デング熱は蚊が媒介するウイルス感染症で致死率が高く、年間で最大4億人が苦しめられている。そうした中で起きたデング熱をめぐる最近の出来事はさらに失望を誘うものだった。

 世界保健機関(WHO)は昨年11月、フランスの製薬会社サノフィが20年余りにわたり15億ユーロ(約2040億円)を費やして開発したデング熱ワクチン「デングワクシア」について、安全性評価の最終結果が出るまで、予防接種は過去にデング熱に感染したことのある患者のみに制限する必要があるとの見解を示した。

 6年間のデータに基づく分析によると、デング熱の感染歴がない人がデングワクシアを接種した場合、その後デング熱に自然感染すると深刻な症状を引き起こすリスクが高い。

 メルボルン大学で微生物学・免疫学を教えるキャメロン・シモンズ教授は「これはまさに今後の計画を台無しにするものだ」と指摘。デングワクシアに関する初期の調査に関わり、ピーター・ドハーティー・インスティテュート・フォー・インフェクション・アンド・イミュニティでデング熱を研究する同教授は「次世代ワクチンはより時間がかかるだろう。安全を証明するための手順が一段と厳しくなる」と述べた。

 フィリピン保健当局は昨年12月1日、デングワクシアの予防接種プログラムを停止したと発表した。

 一方、デング熱ワクチンを開発中の武田薬品工業や米国立衛生研究所(NIH)にとっては希望を持たせるものだ。両者のワクチンは臨床試験の最終段階にあり、サノフィが先月、ワクチンの在庫価値の切り下げを強いられた問題の回避を試みている。

 武田薬品のグローバルワクチンビジネスユニットのプレジデント、ラジーヴ・ヴェンカヤ氏は、独立系のデータ監視委員会による中間解析結果では同社のデング熱ワクチンの安全性について何ら懸念は生じておらず、過去のデング熱感染歴にかかわらずワクチンが4種全てのデングウイルス血清型に対する免疫応答の持続が認められたと説明した。(ブルームバーグ James Paton)