【データで読む】フィリピン 人口ボーナス期のチャンス生かせるか

フィリピン北部ルソン島カビテ州にある葉巻工場で働く労働者たち(ブルームバーグ)
フィリピン北部ルソン島カビテ州にある葉巻工場で働く労働者たち(ブルームバーグ)【拡大】

 生産年齢人口(15~64歳)に対する、幼年人口(15歳未満)と老年人口(65歳以上)の合計の割合を、従属人口比率と呼ぶ。新興国では、出生率が低下する過程で従属人口比率が低下する「人口ボーナス期」が到来し、国民1人当たりの所得が高まり、労働者1人が負担する子供の養育費や社会保障費などが軽減される。また、増加した貯蓄が投資に向けられることで、経済成長が後押しされる。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)各国では、1960~70年代に始まった人口ボーナス期は、多くの国で2010~30年代にかけて終了する見込みだが、フィリピンでは人口ボーナス期が50年代まで続くとみられている。その要因は、フィリピンの出生率があまり低下せず、従属人口比率が現時点でも60%弱と、50%を切る周辺国に比べて高止まりしていることにある。フィリピンでは、ボーナス期が長期化する一方、そのメリットも比較的小ぶりにとどまっている。

 合計特殊出生率は、ASEAN各国で2000年代初めにかけて2人前後に大きく低下したが、フィリピンは現在でも約3人と高い。フィリピンでは、人口の8割がカトリック教徒であり、政治的に大きな力を持つ教会が人工中絶や避妊を禁じている。

 12年には貧困層への避妊具の無償配布などを盛り込んだ人口抑制法が成立したが、教会の強い反発や財政的な制約もあり、十分に機能していない。

 ドゥテルテ政権は、経済政策の10大目標の一つに人口抑制法の徹底を掲げており、増加する生産年齢人口の雇用の受け皿を創出すべく、インフラ整備や産業振興にも取り組んでいる。近年、経済パフォーマンスの良好なフィリピンは、人口ボーナスのメリットを享受することで、一層成長を高めることが期待できる。(編集協力=日本政策投資銀行)