ガソリン、夏場140円台後半も 上昇基調は当面続く見通し

 原油はガソリンや灯油などの石油製品のほか、プラスチックなど化学製品の原料にもなる。原油価格の高騰が続けば、幅広い製品やサービスの値上がりにつながり、家計を圧迫する。

 一方、石油関連会社などの業績を改善させ、新たな資源開発に向けた投資を呼び込むなどの経済を活性化させるメリットもある。

 経済産業省資源エネルギー庁が11日発表した9日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は141円90銭と、3週連続で上昇している。2015年7月以来、約2年半ぶりの高値水準だ。冬に需要が増える灯油の同価格も84円70銭と16週連続の値上がりとなった。

 大手電力や大手ガスは、燃料費の変動を料金に反映させる仕組みを導入しており、原油高で家庭の光熱費は上昇傾向にある。レジ袋に使われる「ポリエチレン」など石油化学製品の製造コストも上昇している。

 また、大手航空会社は相次いで燃料価格に応じて運賃に上乗せする「燃油サーチャージ」を引き上げている。旅行を控える動きが広がれば、観光などへの影響も懸念される。

 一方、産油国経済が改善すれば、オイルマネーが株式市場に投入され、経済全体が活性化することになる。多様な資源開発への投資が促され、将来の資源確保にもつながる。

 石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之主席エコノミストは「世界経済が好調で、投資家心理は強気だ。原油価格も上昇要因が重視され、WTIはさらに上がる。連動する国内のガソリン価格は夏場は140円台後半まで高まる」と分析している。(高木克聡)