「中央」の指示を絶対視 子供の凍傷も起きた中国“ストーブ撤去”の背景 (2/5ページ)

 2017年10月の「政治報告」でも、国有企業、行財政、金融システムといった諸改革を加速させ、中国経済の競争力を強化することが掲げられた(図表1)。権力を集中させた第2次習政権は、リストラなどの痛みを伴う構造改革を断行し、目に見えた成果を出す意向とみられる。なお、17年の第19回共産党大会において規約が改正され、「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」が堅持すべき指導思想と位置付けられた意味は大きい。これにより、習近平総書記の進めたい改革や政策は、すべて指導思想に沿ったものとみなされ、強い抵抗が予想される改革も前進させやすくなった。

(PRESIDENT Onlineより)

(PRESIDENT Onlineより)

 とはいえ、やみくもに改革を推し進め、景気が失速する展開にはならないと予想される。それは、(1)消費市場の立ち上がり、(2)育成分野への政策支援、(3)成長重視姿勢の堅持、の3点が見込まれるからである。以下、具体的にみていく。

 景気拡大の主役が投資から消費に

 第1は、家計の所得環境の改善で、個人消費の景気牽引力が高まっていくことである。企業業績の回復や人材確保のための賃上げなどを背景に、都市家計の可処分所得は2017年に入り増勢が高まっている(図表2)。逆に、これまでの高成長を主導してきた固定資産投資の増勢は鈍化しており、景気拡大の主役が投資から消費にバトンタッチしつつある。実際、GDP(国内総生産)に占める個人消費の割合は2011年から緩やかな上昇傾向を続けている。

(PRESIDENT Onlineより)

(PRESIDENT Onlineより)

 個人消費をかき立てているのがインターネット販売である。2017年11月11日の「独身の日セール」では、最大手のアリババ1社だけで当日の販売額が1683億元(3兆円弱)にも上り、その規模の大きさや拡大のペースが大きな話題となった。こうしたイベント時の販売だけでなく、ネット販売は高い伸びを続けており、小売売上高全体の堅調な拡大を牽引している。13億人にものぼる膨大な人口も勘案しても、中国の消費市場は、今後も底堅い拡大を続けることが期待される。

第2は必要な分野において政策支援を続けること